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終の棲家(冬季編)を書こうと思い、何度も試みているが、今ひとつこれはと思う場所がイメージ出来ずに1年が過ぎてしまった。

考えをまとめきれないので、終の棲家編は、考えがまとまってからにして、1986年後半から1990年前半にスペインおよび南米に駐在していたころのゴルフ紀行を思い出しながら、書いてみることにしたい。

1986年8月7日に成田を出発し、アンカレッジで給油寄港し、その後デッセルドルフ経由マドリッドに到着した。(当時は、燃料補給しないと、ヨーロッパや米国本土には直接行けなかった)

目的地は、バルセロナだったが、語学学校への入学手続きやホームステイ先の受け入れなどで、1週間マドリッドで滞在を余儀なくされた。

この年は、ヨーロッパは暑かった。

到着後、時差ボケを解消するために、プラド美術館に行くことにした。
当時、確かプラドは、本館と新館に分かれていて、本館には、ゴヤやエルグレコなどを中心とした伝統的・宗教的な絵画(「裸のマハ」や「着衣のマハ」など)が展示され、新館には、ピカソのスペイン内戦をモチーフにした「ゲルニカ」が展示してあった。(「ゲルニカ」は現在、ミロやダリの作品などを中心とした近代作品のひとつとして、ソフィア王妃芸術センターに移設されている)

当時プラド新館に入ると、すぐに「ゲルニカ」の前には行けず、細い回廊の壁面に、「ゲルニカ」に描かれている「牛」や「馬」などの登場するものたちが、A5サイズくらいの紙に、鉛筆で詳細に何枚も何枚もスケッチされているのが展示されていた。
それらは、デフォルメされる前のもので、恐らく事実に正確に描かれているのだろう。
しかし、「牛」のデッサンに少し違和感があった。
角の間に、くるくるとカールした毛が乗っているのである。

そして、半年後に、実際に、スペイン北部の街ゲルニカを訪れることとなる。
ゲルニカの街を、レンタカーで観光しているときに、牧場の側を通り過ぎたとき、衝撃が走った。

プラドでみた、角の間にカールした毛を持つ牛たちが、そこかしこに居るではないか!

大作を作成する過程は、気の遠くなるような、こういった細かい写実の積み重ねだと感じた。

偉大な先人の目が鋭い感覚をもって、捉えたものを、現地で追体験することも、旅の醍醐味のひとつと思う。

井上誠一のコースも、毎回ラウンドしていて、新しい発見がある。
太陽、風、水がゴルフ場をどう成長させてくかを想像したうえで、緻密に計算された仕掛けが散りばめられているからなのか。

素晴らしい結果(人を感動させる)をもたらすためには、正に妥協しないプロセスが一番大切なのだと痛感させられる。

そして、留学先のバルセロナに移動する日、8月15日が来た。

この日は、一段と暑い一日だった。
首都マドリッドと第二の都市バルセロナには、飛行機のシャトル便があって、一時間ごとにフライトがあり便利だった。

朝、ホテルのカフェテリアで、すっかり飽きてしまった、いつものコンチネンタルブレックファストをとって、ホテルを出発した。

バルセロナには、約1時間で到着、着陸するときに、海沿いにゴルフ場が見えて、これからのバルセロナの生活を想像して、心躍ったのが昨日のことのように思える。

 

 

掲載日:2021年12月2日